株式会社ニワンゴが提供していた各種Web動画にコメントを付けて楽しめるサービス「ニコニコ動画」が、YouTubeよりアクセス拒否を受けサービスを一時停止しました。このニュースを受けてWeb上ではニコニコ動画がアクセス拒否された理由に付いてさまざまな憶測が飛び交っています。この記事ではニコニコ動画がYouTubeからアクセス拒否された真相について書いていきます。
ニコニコ動画とはYouTubeやAmebaVision、フォト蔵など、各種動画サイトの動画にリアルタイムでコメントを付けられるサービスでした。2006年12月12日に株式会社ニワンゴによって開設され、わずか2、3ヶ月足らずで1日約400万PVを記録するなど、爆発的な人気を呼びました。
コメントが付いた動画を再生すると、動画の上に重なる形で自動的にコメントが流れる仕組みになっており、動画を通じて気軽にコミュニケーションを取ることが出来る画期的なサービスでした。
2chやSlashdotで読んだニコニコ動画アクセス拒否の理由は大まかに分けて2つ。
この内、Webコミュニティ上で最も支持されていると感じたのが(1)。ニコニコ動画はYouTubeから勝手に動画データを引っ張ってきて利用している。YouTubeは広告収入で運営されているのに、無断で動画データを使うとはけしからんという意見です。
この意見は一見もっともらしく見えるけど、ニコニコ動画がYouTubeから勝手に動画データを利用することに関しては問題はありません。と、いうのも、YouTubeは開発者用にAPIを(Application Program Interface)を公開しています(YouTube Developers API)。ソフトウェア開発者はこのAPIを使ってYouTubeからデータを取得しアプリケーションをつくることが可能となります。ニコニコ動画に限らず、このYouTube Developers APIを利用したWebサービスは国内海外を問わず多数存在します(はてなのRimoやYouTubeと音楽チャートを合わせたCDTubeなど)。APIを使ってYouTubeの動画を利用することがダメなら上記サービスもとっくにアクセス遮断されているはずです。
つまりYouTube側から「動画データを自由にアクセスしてWebアプリケーションつくっていいですよ。データにアクセスしやすいようにAPIも設置しときましたからね」と言っているので、ニコニコ動画みたいなサービスをつくること自体は問題は無いのです。
というわけで、正解はおそらく(2)。ITMediaの記事によると、ニコニコ動画のアクセス数は1日400万。第三者のサービスがそれだけアクセスすれば転送量だけでなくAPIへのアクセスによるサーバ負荷もそうとう高いはず。本家YouTubeが傾きかねません。
でも転送量よりもっと肝心な理由もあります。それは著作権と商用利用です。
YouTubeの利用規約を見ると「YouTubeにアップロードされた動画はアップロードしたユーザに著作権が帰属します」とあります(5. User Submissionsあたり)。アップロードしたユーザに著作権があるということは、その動画の上に勝手に文章を並べてコンテンツにしているニコニコ動画は著作権を侵害していることになる可能性があります。アップロードしたユーザはYouTubeに対して動画を利用することは許可していても、動画の上に文章を書き散らかすことに対しては許可していない訳です。そういうわけでトラブルの種になりそうだと考えたYouTubeがアクセス拒否にした、と。
それからもう一つ、5. User Submissionsの1番下にF. YouTube permits you to link to materials 〜
という文章があります。ここには「あなたのサイトからYouTubeにリンクを貼れば、YouTubeの埋め込み型プレーヤーをあなたのサイトに貼付けても良いよ。」といった感じの規約が書かれています。で、YouTubeの埋め込み型プレーヤーを利用できる条件として「非営利、個人のサイトに限る」と書いてあります(Website for personal, non-commercial purposes only
)
ニコニコ動画はページに広告を貼付けてはいませんでしたが、株式会社ニワンゴという企業が運営するサイトだったので、上記規約に引っかかった可能性もないわけではありません。でも、企業運営サイトでの利用がダメなら株式会社はてなが運営する「Rimo」もNGなんで、これが決め手ではないと思われます。